両想い片想い



「ごめんね、蓮。
あの日の事は、本当に反省してるの」



あの日。

実愛からその単語を聞いた瞬間、さっきよりも濃く、あの日の光景が思い浮かんでくる。


教室。
実愛と俺の友達。
そして初めて見る実愛の冷たい目。

実愛の言葉。



まるであの日にタイムスリップしたかのように、目の前にあの日のことが広がっているかのような鮮明な光景。




「みあ、ほんとはまだ蓮の事が好きだよ。
蓮もまだ、みあのことが好き?」

「信じられねーよ。
もう、実愛の言葉なんか、聞きたくない!
お前の言葉は、信じられねー!!」




実愛を突き飛ばして逃げた。

どこまでも走って逃げたい。
どこまでも、実愛のいないところに。



でも、それをさせてくれない奴がいた。




「逃げちゃだめだよ」




優しく、花のように笑う綾瀬のはじめて見る顔に、思わず足が止まった。

もう一度


「だめだよ」


と俺をなだめるように言った綾瀬の言葉は、不思議と俺を落ち着かせた。