魔王と妃

エミが僕の下から逃げ出した――

たいして珍しくもない大魔王の訪問に
うんざりしながらも対応していると

ルシファーの妃である女が珍しく僕に問いかけた



エミ様はどちらに?



この女はエミと同じように星神がルシファーに与えた女

ルシファーはこの女をとても大切にしている



「今日は部屋で待機させている」



そうですか…


その返答に落胆したのか明らかに落ち込んでいる


「あなた様は…エミ様を御正妃になさらないのですか?」

その言葉に僕の周りにいた女たちが一斉にざわついた



あの女が正妃?
ありえないわ…
だったら私のほうが

など様々な声が聞こえてくる


うっとうしい――

自らにとってその声は鬱陶しいいがいの何物でもない


「しかし…突然どうしたんだ?そのような質問はあなたらしくないな」


あくまで優しく問いかける



「いえ…彼女は私と同じ身の上でありながら…」


その先をいうことを戸惑っている女の代わりに自分で言う


「あなたとまるで正反対に…
奴隷のごとく扱われている
エミに同情なさっているのですか?」