あの時から俺は実の事を気にかけてたんだな…
そんな事を思いつつ俺は吸いかけのマイルドセブンを灰皿に押し付けた。

珠利奈、どうするかな…

職員室に戻った俺は名簿を取り出し
『矢野 珠利奈』を見ていた。
ん? 父親がいねーのか?

「どうしたんですか?橘先生」
「あぁ、いやなんでも」
「ぼぉーっとするなんてらしくないですよ!」
「すいません、ちょっと疲れてるみたいです」
「あぁ、矢野さん?」
「この子、父親いないんスね」
「そんな生徒たくさんいますよ」

ちっ…
そんなとか言ってんじゃねーよ。

「なんかあったんですか?」
「あ、いえ別に」
「そうですか、ならいいんですけどね」

放課後になったらもぉ一度謝るかな…