午後7時30分

健汰は家に着いた。

いつもなら30分前には着いてるのに。

きっと母親は心配してる。

なんて言い訳しようか…

そればかり考えて玄関で10分も過ごしてた。

すると、扉が開いた。

「健汰!!こんな時間まで何してたの!?」

言われて当たり前の言葉…。

「ちょっと友達に会って話してた。」

健汰は笑って誤魔化した。

頑張って通じるような口実つくって…。

病気だっていう真実。

半年の余命の真実。

叶いそうにもない夢

描いた理想。

そんな真実の中で

大丈夫

なんともない

友達と話してた

造る嘘。

「だからか…」

健汰は思った。

「最近、変に街が綺麗に見えるんだ…

まぁ…無理はないか…

俺は嘘で汚れた人間だから」

心の中で呟いた。

「ちょっと疲れたから部屋にいるわ。」

「結愛ちゃんにも謝っときなさいよ」

「結愛?」

「帰ってますか?って

電話きて未だ帰ってないって言ったら

泣いてたから…」

健汰は頷いて階段を上ってった。