沈黙のまま車は走り出した。
本当は柏都くんの方を見てたい。
だけど恥ずかしくて
見れる余裕なんて今の私にはなかった。
ぱっと瞬間的に
本の少しだけ見てみた。
真剣に運転してる柏都くんの横顔…。
“柏都くんってこんなに
かっこよかったんだあ…”
いまさら!?自分でも思った。
だけど無理はなかった。
柏都くんの隣の助手席は
パパの特等席。
私が見れるはずなどない。
柏都くんの左顔に見とれてると
柏都くんが話しかけてきた。
「お嬢様、私の顔になにかついていますか?」
際どい所をついてきた。
「柏都くん、私と2人の時は
お嬢様禁止だからね。」
少し意地悪に柏都くんにいう。
「じゃあなんと呼んだら…」
「口調も普通にしてよね。
敬語もお嬢様も禁止」
「じ…じゃあ、亜美」
「ようやく呼んでくれた」
柏都くんは恥ずかしそうに
顔を赤くする。
私は話を誤魔化すように
また新た話題で
話を切り出す。
「いまからどこにいくの?」

