━━結衣side━━

はぁ...最悪。



何で先生の書類のまとめなんか手伝わなくちゃいけないのよ...



今日は顧問の先生が出張で部活が無いから、本屋でも寄って行こうと思ってたのにな。



憂鬱な気分で家に帰り、自分の部屋のドアを開けた。



その瞬間、あたしはびっくりしてスクバを床に落とし、口を金魚みたいにパクパクさせた。



「そんなに驚かなくてもいいじゃん」



...何で...何で叶多がここに居るのよ!?



叶多はそんなあたしの感情を読み取ったらしく、「千夏に『返すの忘れてたから、結衣に渡してくれない?』って頼まれた」と答えた。



「く、来るなら連絡ぐらい入れてよね...」


「ああ、ごめんごめん」



...あれ?叶多が反撃してこない。なんか、調子狂うな...。



「はい。じゃあ俺、帰るから」


「え?...あ、ああ...うん...」


「......今日、憎まれ口叩いて悪かった」



叶多は小さな声でそう言って、あたしの部屋を後にした。