貴方の隣に生きたくて

嘆いたと思ったら
涙をポロポロ流して泣き始めた。

「どうした?」

この時、俺が優しく聞いたから
いけなかった。

「うわーん!…」

乃叶は一度俺から離した手を
俺の首に回して大泣きし始めた。

トントン…トントン…。

ゆっくり、静かに。
一定のリズムで背中をさすった。

「今日は、もう寝ろよ。
根室の控え室が空いてるから。」

「え…?なんで?
今日くらいは、お話しない?」

俺がソファから立ち上がると
乃叶は俺の両手を掴みながら
必死にせがんできた。

「根室と、柚納探さなきゃ。
乃叶も行くか?」

乃叶は静かに頷き
俺の後について来た。

「あ…あれって?」

乃叶が指をさした先には
仲良さそうに話す男女が2人。

根室と、柚納。

それを複雑な表情で、
何も言わずにただ見つめる乃叶。

きっと辛いよな。

俺は…
親友を裏切っていると解っていたが
乃叶をそっと抱き寄せた。