貴方の隣に生きたくて

そして、2人は
会場の外側へと行った。

「乃叶!」

遠くから、大きな声で
乃叶を呼ぶ声がした。
誰が呼んでいるか
辺りを見回すが、
誰だかわからなかった。
そのうちに、乃叶を呼ぶ声が
強くなって行って…

「はぁ…はぁ…。
あ…のさ。一体何があったんだ?」

そこに立っていたのは…

「岡崎くん…?」

乃叶の起爆剤、岡崎くん。
なぜか、顔を真っ赤に染め
呼吸を乱しながら
誰かを探しているようだった。

「なんか、あいつ…
俺の彼女…柚納がいないんだ。
さっき探してたら
根室と話してるのが見えて…
だから、急いで来たんだ…
ところで2人は?」

乃叶は頭が混乱していた。

岡崎くんは今、
大切な人を探している。
でも今…
教えてしまったら
乃叶の所へは…
きっと、柚納ちゃんの所に
行ってしまうはず…

行って欲しくなかった。

少しでいいから
乃叶といて欲しい。

「ううん…
乃叶、知らないの。
気付いたら、2人が居なくて
探してるの?
なら、この場からは
動かない方がいいよ!」

知らないなんて、嘘だよ。