貴方の隣に生きたくて

予想外の展開に
根室さんも若干驚いている。

「じゃあ、今日からタメね。
乃叶ちゃんのことは、
のんちゃんって呼ぶから
俺のことは、雄って呼んで?」

私がしどろもどろしているうちに
強引に会場へ連れて行かれた。

「ねぇ…根室…雄?」

私がおっかなびっくりはなしかけると
優しい笑顔で
「どした?」
と返して来た。

「ううん…
何でも無いの…。」

この時、言えなかった。
「柚納ちゃんが恐いよ。」
って、言いたかった。
あの突き刺すような視線から
守って欲しかった。

そんなことを考えていたら
早速と言っていい程速く
私に近づいて来た。
そして、私の前までくると
立ち止まって
「今度は雄君に媚び売ったの?」
と、みんなに聞こえない声で
囁いて来た。
私が、「えっっ?」
と言うと、
「まぁ、これで弘人は
完全に柚納のモノだね。
次近付いたら
タダじゃおかないから。」
と、私を見下しながら言った。

そんな様子に気付いた
雄が、突然…

「俺ののんちゃんに
何か用でもあるのかなぁ?」

と言いながら
小柄な私を、ひょっこり
抱っこした。