貴方の隣に生きたくて

「ほっぺ、冷たいねぇ。
どうしたのかな?」

まるで親か兄のように
私の些細な変化に気付き
事情を聞いて来た。

「イヤ…
やめて下さい…」

私は、男が醸し出す
艶っぽい雰囲気に圧倒され
後退りした。
一歩、二歩…
三歩目を踏み出した時…
背中にひんやりした感覚が…
「あっっ…」
壁にあたってしまい
私は行き場を失った。
「ふっっ。
悪いことはしないから…。」
そういいながらも
彼は更に歩みよって来る。

「ねぇ、付き合って。」

は?
彼が突然発した一言に
身の毛がよだった。
「え… 今何て…?」
もう一度聞き返す。

「だから、付き合ってって
言ってるんだけど?
乃叶ちゃんフリーでしょ?」

男は
笑顔で続けた。

断ろうと思った。
でも、さっきの出来事を
思い出すと、また更に
涙腺が緩んで来た。

____岡崎くんを諦めなければ
また柚納ちゃんに
目を付けられる…

そう思った瞬間、私は
「いいよ…」
と言い放っていた。