貴方の隣に生きたくて

そんなこんなで
三十分くらい走っただろうか。

思ったよりはやく
根室さんの家へ着いた。

でも
慶太くんの背中で安心し切ったあたしは
すっかり夢の中。

「…叶? 乃叶?
おーい‼乃叶?」

バイクで眠ってしまったあたしは
十回程起こされて
やっと目を覚ました。

「うう…
けーたくぅん?
ねむろさんのおうちついたぁ?」

まだ眠い。
だって、呂律は回らないし
頭がクラクラするしで
半分はまだ夢の中なんです。

「こら‼
また寝ようとしてるだろ!
さっさと行くぞ!」

でも、身体が寝起きのせいで
酔っ払いみたいになっていて
思うように動かない。

脚がおぼつかずに
眠たい目を擦ってフラフラ歩いていると

「ったく。
しょうがないなぁ。
ほら、乗れよ。」

と、あたしの前に突然しゃがんだ。

あたしが、?という眼差しで見ると

「おぶってやるから。」

と言った。


あたしは
馬鹿にされたような感じがして

「別に歩けるもん!」

と先に行った。