もう…
うるさいよ。


酷い言葉をつい
吐き出しそうになったとき
あたしはふと顔を上げた。


「あっっ‼
乃叶じゃん?
柚納‼
こいつ同じクラスの女子だよ。」


はっとした。

今自分は
なんて醜いことを
彼女に言おうとしていたんだろう。

岡崎くんの幸せが
乃叶の幸せだから。

でも
さっきから
彼女の視線を痛いほど感じる。

それは
疑いや嫉妬が絡んだ
突き刺すようなモノだった。

目が合った瞬間には
ついつい
目を逸らしてしまう。

やっぱり
先に帰った方がいい…

独自に判断したあたしは
こっそりその場を抜け出した。


そんなあたしのすぐ横では
岡崎くんと彼女が
仲睦まじく話していて
とてもじゃないけど
その中には入れない。


あたしは
ゆっくり歩き出した。