「 あの…
あっっ‼
こないだの人じゃん?」


岡崎くんは
あたしの顔を見るなり
そう言った。


そんな話題で盛り上がるのは
まだ
こないだのハンカチ事件から
全然話せていない
ということ。


でも
あたしの恋はまだこれから。


焦る必要なんて
どこにもないから。

あたしは

「今日から隣なんで…
よろしくです…」

と少し照れ混じりに
彼に微笑みかけた。


きっと
あたしは今、
世界で1番女の子らしい女子だよね。

大好きな
大切な初恋の人を目の前にして
嬉しくて
嬉しくて…


そんなあたしたちの沈黙を破ったのは
あたしの席の右斜め前の男子。

斎藤 慶太。

あたしとしては
邪魔なだけ。

そいつが

「よかったな‼
お前のお気に入りの女子で…」