「…ただいま」 びしょ濡れの制服。 雨水が滴る髪。 梓が帰った後も…私はずっとあの場から離れられなかった。 次第に雨が降り出しても、動けなかった。 気づいたら始業式も終わる時間になっていて、そのまま帰ってきてしまった。 雨と汗で濡れた制服のシャツが冷えた肌にぺたぺたと張りつく。 …あれ? リビングの電気がついていない。 お父さんは仕事だろうけど…お母さんも出かけてるのかな。 まあいっか、どーでも。 大して気にもとめずに、自分の部屋に向かうための階段を登った。