屋上を覆う灰色の空。 遮るものがなにもなくなった今、それはなんだか手を伸ばせば届きそうなほど近いものに感じた。 そういえば今日は雨が降るって言ってたな。 ぼんやりと空を見上げながら考えていると、ぐい、といきなり手を引かれた。 「あ、梓…?」 なにも言わずに私の手を引いて屋上の端の柵まで連れていく梓。 そこに着くと、梓はくるりと振り返って、口を開いた。