踏切を渡りきって、立ち止まる。 人ごみに置いていかれた私は一人、振り返ることもできずに立ち尽くしていた。 きっと、本当にただの気のせいで。 きっと、ただ私の願望が私をこうさせているだけで。 警報音の鳴り始めた踏切。 かしゃん、と遮断機が下りた音が聞こえた。 ゆっくりと、振り返る。 そこには、私と同じ。 取り残されて、一人。 私を見つめる彼の姿があった。