「ヒカリ、ここのクレープ美味しいんだよ。風船飛ばしちゃったお詫びにあげる」
私が空を眺めている間に買ってきてくれたらしい。
甘い香りを漂わせるクレープに、昼時でちょうどお腹が空いていた私はかじりついた。
ふわっと口の中で広がるチョコレート
パリパリの皮
濃厚な生クリーム
「…おいしい」
「でしょ?!昔っから大好きなんだよなぁこれ!」
目を輝かせながら自分もクレープにかじりつく亮。
…昔っから、ってことは。
「亮、ここに何度か来てるの?」
私の言葉に頬張るのを一旦やめて、口の中にあるものを飲み込んだらしく、ごくりと喉を鳴らす。
唇の端にクリームがついてるけど、全然気づいてない。かわいい。
「…うん、昔はよく来てたんだ。俺、大阪に住んでたから」


