「…ありが…」 それを受け取ろうと風船に手を伸ばしたけど、その前に亮が手を離してしまって。 風船は、青い空へと吸い込まれていってしまった。 「ご、ごめんヒカリ!もう一個もらってくる!」 「へーきだよ別に。どうせ電車では持って帰れないんだから、気持ちだけで十分」 ぷかぷかと空に昇っていくピンク色の風船。 水色の背景に、ピンク色のそれはあんまり似合わない気もしたけど。 どこまでも高く昇っていくピンク色を、ぼんやりと見つめ続けた。