「…あ、」
不意に亮がどこか遠くを指さす。
その方向に目を凝らすと、遊園地のマスコットキャラクターが色とりどりの風船を子供たちに配っていた。
「…ヒカリ、ちょっとここで待ってて」
まさか、と思ったらそのまさかで。
さっきまであんなにガタガタブルブルしてたくせに、すっくと立ち上がってマスコットキャラクターの元へ駆け寄る亮。
頬杖をついて待っていると、ピンク色と水色の風船を持った亮が、ご褒美をもらいにきた犬みたいな笑顔で戻ってきた。
「はい、プレゼント」
ピンク色のそれを差し出される。
子供みたい、って笑って、だけどほんとは結構嬉しかった。


