久しぶりに聞いた、懐かしい声。 泣きたくなるくらい、あたたかい声。 振り向くと、寝ていたはずのお母さんがパジャマ姿で微笑みを浮かべていた。 「…あなたの笑顔、久しぶりに見た気がする」 私も、お母さんの笑顔…久しぶりに、見た。 「…私が、奪ってしまったのよね。あなたから」 ううん、私が…お母さんから、奪ったからだよ。なにもかも。 「ずっと…後悔してたの。『あの日』のこと」 私も、ずっと…後悔してた。 「あなたが、笑えるようになって、よかった …いってらっしゃい」