「…よし!」 鏡に向かって、ぱん、と両の頬を思い切りよく叩いて笑顔を浮かべると、ひりひりとした痛みが眠気を吹き飛ばしてくれた。 昨日の時点で服は決めておいたけど、いざ出かける前になるとやっぱり悩むだろうから、予定よりずっと早く起きておいたんだ。 案の定、悩みに悩んで時間はぎりぎり。 やばい、急がなきゃ。 腕時計を見て、私にしてはかわいいスニーカーに足を入れた。 「…いってらっしゃい」