「きゃーっ!美子、言うんだ!ついに!」
「美子ならいけるよ!」
「あんな奴よりぜーんぜん可愛いもん!」
……思いっきり聞こえてますけど。
ちらちら私の方を見ながら言ってる限り、わざとなんだろう。
「美子、いつもの手でいくの?」
…いつもの手…?
「もちろん!」
いつもの手、ってなんだろう……
「じゃ、行ってくるね」
「美子、ファイトー!」
「頑張れー!」
不安がる必要なんてないことはわかってる。
だけど、さっきの言葉が気になって。
別に、亮のことが信じられないとか、そんなんじゃないんだ。
ただちょっと、気になるだけ。
亮と佐伯さんがいなくなると、私も体育館裏へとそっと向かった。


