「______藤堂くん」 背筋が粟立つような、猫なで声。 ああ、またか。この声。 亮と一緒に振り向くと、佐伯さんが…作った笑顔で、自分が一番かわいく見える表情を知っている笑顔で、亮の体育着の袖を引っ張っていた。 「今から…話があるの。落ち着いたら体育館裏に来てくれない…?」 上目遣いに、ちょっぴり目を潤ませながら。ぷるんぷるんの唇を尖らせる佐伯さん。 その姿は、女の私が見たって…嫉妬しちゃうくらいかわいくて。