はっとしてバトンを拾い、前を向くと、もう一組の子の後ろ姿は何メートルも先。
横目でちらりと、佐伯さんが三日月みたいに口を開いて笑っているのが見えた。
…ばか!ばか!私のばか!!
佐伯さんの、あほ!!
悔しくて、やるせなくて、涙が出そうになる。
…ああもう、無理だよ。絶対無理。
だって、あんなに遠いもん。前の人。
こんな差…埋められっこないよ。
…でも。でも。
理屈だけじゃ諦められない。
だって、みんなが応援してくれたから。
藤堂に、このバトンを繋げないといけないから。
私一人の、想いじゃないから。


