「藤堂くん、私の走りはどうでしたか?」
応援席へと向かう道を歩きながら、かしこまって咳払いをする。
藤堂も咳払いをして、
「…惚れ直しました」
「ほれっ…?!」
予想外というか、予想以上というか。
思わず赤くなって、でもなんかこのままやられっぱなしも嫌だから。
「…藤堂くんも、かっこよかった、です」
いたずらっぽく笑って藤堂の顔をのぞき込む。
…これは、思った以上に。
「…真っ赤…」
私に見られたと知ってますます顔を赤く染める藤堂。
「お、お前だってなあ!真っ赤なんだからな!!」
照れ隠しみたいに大声を上げる藤堂が可愛くて、思わず頬をぐにゃりと緩める。
「笑ってんじゃねーよ!」なんて緩みきった頬を引っ張られて、痛くて、でも笑顔は引っ込まなかった。


