ゆるゆると、全身の力が抜けていくのがわかった。 もっと速く、もっと速くと思っても、差はつく一方で。 柿沢さんが一瞬ニヤリと笑っているように見えた。 うんまあ、敵うわけなかったよね。 相手は陸上部だし。本職だし。 対して私は帰宅部で、こんな風に彼女と競ってられるのも、ただの偶然というか。奇跡というか。 身の程知らず、ってやつ。 二位ってだけでも十分がんばったよね、私。 「…上原ぁぁぁぁ!!!走れぇぇぇぇッ!!!!」