「…あんたがどう思ってるか知らないけど…
美子だって、本気で…藤堂くんが好きなんだから…!」
一瞬見せた、切なげな表情。
でもそれはすぐに、悪意のある微笑へと変わった。
_______ザクッ
ハラハラと舞い散る黒い髪。
桜とか紅葉みたいな情緒は欠片もない。むしろホラー。
…こんな美容師、絶対ありえないから。
「ヒカリになんてこと…!!」
目に涙を浮かべながら真っ青になって震えている未来。
そんな未来を見て、佐伯さんは再びにんまりと頬を歪めた。
「…あんたも、やってやろうか?」
私から背を向けて未来のほうへと歩き出す佐伯さん。
…本気で藤堂が好き、ね…
「…やめなさいよ」


