「こんなとこにいた」
顔を上げると、未来が息を荒くしながら私を見つめていた。
涙をポロポロ流している私に驚いて、でもすぐに小さく微笑みながら、しょうがないなあってハンカチを渡してくれた。
「ほらヒカリ、帰ろ!」
差し出される手。
でも、その手を取ることなんてできない。
「…帰れないよ」
「なんで?」
「…藤堂のこと、傷つけた
未来も…嫌になったでしょ?私のこと」
うつむくと、アリが地面を這っているのが見えた。
「私…もう、自分が嫌だよ
自分が…嫌いだよ」
すぐに泣いちゃう泣き虫なところも
思ったことがすぐ態度に出ちゃう不器用なところも
他人に迷惑ばっかりかけて、助けられるだけなところも
16年間、好きでいられたことなんてないんだ。


