「そんときできた傷が…これ
…この傷を見るたびに、後悔とか悔しさとか、全部思い出すんだ
俺さ、上原に自分のこと置き換えてたんだと思う
最初は、母さんを殺されたから、人殺しなんて人種…俺は許せないんだって思ってた
でも、たぶんちょっと違った
俺は、自分の後悔を…上原にぶつけようとしてたんじゃねぇかなって
…藤堂の言葉で気づいて、図星だったから…殴るなんてこと、しちまったんだ
ほんと、ごめん」
深々と頭を下げる中川くん。
そんなのいいよ、と慌てると、申し訳なさそうに微笑んだ。
髪で隠れた、額の傷。
未来にも、私にも、過去に傷があるように。
誰にだって…あるのかもしれない。


