お待たせ、と下駄箱で待つ未来にスリッパのまま駆け寄ろうとすると、その顔がずいぶんと歪んでいるのに気づいた。 通学かばんの持ち手を握る手が、見てわかるくらいに震えている。 「…みら、い?」 恐る恐る声をかけると、バツの悪そうな顔で瞬きをして微笑む未来。 じゃあ行こっか、って笑った顔は、いつもとなにも変わらない。 「…ヒカリ」 「ん?」 「…つらくなったら、あたしには言ってよね」 彼女の制服のポケットからはみ出している、小さな紙の端っこ。 ああ、そっか、って。全部、納得した。