彼は、私たちの姿を目にとめると、避けるようにうつむいて歩く足を速める。 すれ違う瞬間、未来が耐えきれなくなったように彼の名前を呼んだ。 でも藤堂は、止まることも、振り返ることもせず。 私たちに背中を向けて、歩き続ける。 藤堂とは、あの日から一度も話すことすら出来ていなかった。 私がずっと…避けられているから。