に じ い ろ~Rainbow Days~








◇◆◇




「ほら、あの人でしょ?噂の……」

「そうそう」



______人殺し_______





廊下を歩くだけでまとわりついてくる、ヒソヒソ声。


大丈夫。慣れてる、こんなの。



唇を噛み締めて、そ知らぬふりをして前を向く。



だけど、隣で歩く、この人は、


私の手を握りしめて…怒ってるのかな。震えながら彼女たちを睨んでいた。



慌てて私たちからそらされる視線。





「…なにも、知らないくせに」



震えたままの未来の唇から発せられる、小さな声。



ああ、私のために怒ってくれてるんだ。



そのことが嬉しくて、彼女の言葉に首を振った。




「しょうがないんだよ」




どんなに善人になったつもりでも、どんなにつらい思いをしても。


私が過去に犯してしまった過ちは、消えやしないんだから。