「…ただいま」



いつも通り、返事もないのに習慣化してしまった言葉。


もう外も暗くて、電気のついていない部屋の中も真っ暗だったから、手探りでスイッチを探し当て、電気をつけた。




いつもの通り、だったはずなのに、今日は少しだけいつもと違っていて。



お母さんが珍しく帰ってきていた。



ソファに座ってぼんやりとしているお母さん。


…電気もつけずに、なにしてるんだろう。





「あなたが倒れたって、学校から電話が来た」





自分の部屋に戻ろうとお母さんに背を向けると、そんな言葉を投げかけられる。