ふらふらと、教室の外へと歩き出す梓。 その顔にはもう作り笑いなんて浮かんでいない。 紛れもなく、三年前と同じ。 梓はなにも、変わってなんていなかった。 変わらずに、前に進めずに、あの日、あの時をさ迷ったまま。 「…レナに、申し訳ないとか、思わないんだね、あんたは」 今にも泣き出してしまいそうな、そんな声。 今にも消えてしまいそうな、弱々しい声。 涙を一筋流しながら、梓は私を指さしてこう言った。 「『私は、あんたを絶対に許さないから』」