「なんで人殺しのあんたが、いっちょまえに親友とか作っちゃってんの?」 “人殺し” 何年ぶりだろう。その言葉を聞いたのは。 「ねえ、神里さん?…ああ違うか、今はなに?上原さん?なのかな?」 うつむく私の顔を下からのぞき込む梓。 にたぁっと笑ったせいで三日月みたいに細くなった瞳が、私の瞳を捉える。 「…幸せそうだね?親友、殺しちゃったのにね?」 心を殺して。 脳みそをフリーズさせて。 ただ、時間が過ぎるのを待つ。 この感覚、久しぶり。 …最近は、こんなことをする必要がなかったから。