「上原、終わったぞ」 その声に、弾かれたように藤堂から離れる。 よかった、まだここが暗くて。 明るかったら、林檎みたいに真っ赤な顔を見られてたと思うから。 「藤堂…ごめん。ほんと、ごめん」 こういうときなんて言えばいいのかなんて私にはわからなくて。 意味もない謝罪を繰り返す。 「…謝る理由ないだろ。そんなすぐ謝んなよ」 私の返事を待たずに、明るい教室の外へと扉を開く藤堂。 ずっと暗い場所にいたから、眩しくて目を細めた。