「これなら見えないだろ?」
「う…ん…」
藤堂の、心臓の音、聞こえる。
それは私が藤堂の身体に身を預けているからなのか、藤堂が、どきどきしてるからなのか。
わからないけど、私の心臓も同じくらいの速さでどきどきしてて。
なんで、こんなことしてるんだろう。私。
友達の好きな人を、抱きしめて、抱きしめられて。
ほんとの友達だったら、ここで藤堂のこと突き放すべきなのかな。
離して、って、拒絶すべきなのかな。
でも________
藤堂のシャツを握る指に力を入れる。
どきどきと心臓は痛いはずなのに、安心して。
藤堂の温度が、私の体温もあたたかくして。
離れたくない。
確かに、そう思ったんだ。


