「上原…大丈夫?」
「…たぶん」
ほんとは、お化け屋敷なんて入ったことなくて。
だから、自分はお化け屋敷が得意なのか、苦手なのか、それすら知らないんだ。
…でも、この寒気。
…嫌な予感がぷんぷんする。
「…未来、機嫌治ってるといいね」
不安を取り除こうと、わざと明るい声を上げた。
「昔からあいつ結構切り替え早いから、大丈夫だと思うよ」
“昔から”
その言葉で、未来と藤堂が中学時代を共に過ごしていたことを思い出す。
私の知らない、二人。
なんだか胸のあたりがちくんと痛んで、唇を噛んだ。
そのころの二人の思い出の中に、私はいない。
そのころの二人を、私は知らない。


