「お二人ですかー?」 「あ、はい」 受付の女生徒は、藤堂に釘付けになって、でもその彼の隣には私がいて。 きっと、なにか勘違いしたんだろう。 「カップルで楽しんできてくださいね~」 羨ましいなあ、なんて視線を私に送ってそんな言葉を付け足した。 …そんなんじゃないのに。 だけど、わざわざこの場でそれを否定するのもめんどくさくて。 隣のその彼もなにも言わないから、私と同じ気持ちなんだろう。 藤堂に続いて暗い教室に入ると、冷たい風が顔を撫でた。 どこか寒気を覚えて手で自分の身体を抱きしめる。