「…あ…」 なにかを見つけたように小さく声を上げる藤堂。 目的の物が見つかったのかとその視線の先を探してみても、それらしきものは見当たらない。 どうしたの?と顔を見上げると、藤堂は、少し気まずそうにうつむいて… 私の、手を取った。 「え、ちょ…藤堂?!」 「ごめん、事情はあとで話すから!」 そのまま引きずられるようにして藤堂に手を引かれる。 事情なんてまったく飲み込めないまま、握られた手の大きさに胸の鼓動が速くなっているのがわかった。