「あ、上原」 またすぐに会話、途切れちゃうだろうな。 憂鬱になりながら「なに?」と顔を上げると、返ってきたのは返答ではなくて。 腕を引かれて、藤堂の胸に背中をあずける。 突然すぎてぽかんとして、でもすぐに我に返って。 いきなり何するのよ、と抗議しようと藤堂の顔を見上げると、目の前を自転車が通り過ぎていった。 「…前見て歩かないと危ないだろ?」 子供を諭すみたいに優しい口調。 思わず顔が赤くなって、再び地面へと視線を戻した。