「亮…くん…」 「…え?」 「亮くんッッ!!」 がたん、と大きな音を鳴らして立ち上がり、ものすごい勢いで人混みをかき分けて行く未来。 私の声なんて、届いてないみたいだった。 「亮くんっ!亮くんっ!!」 未来はやっとのことで藤堂くんの前に立って、笑顔を向けている。 未来の顔を見た瞬間、藤堂くんの目が丸くなった。 「…前沢?」 「亮…くん…」 「前沢っ!」 満面の笑顔で名前を呼び合う二人。 それは、二人が知り合いだということを明確に表していた。