________ガラッ
乱暴に扉を開けると、一瞬だけ静まり返る教室。
でもすぐに元通り、騒がしい朝に戻った。
うん、これが普通。いつも通りの光景。
私の存在を気に止める物好きなんて、確か…高校入学一ヶ月くらいで誰もいなくなった。
いつも通り、教室の一番すみにある自分の席に着く。
かばんから読みかけの小説を取り出して、お気に入りの栞が挟まれたページを開いた。
読書は、好きだ。
私の唯一の趣味と言っても過言じゃないだろう。
自分が、自分でいなくて済むから。
この紙の束に書き綴られた小さな文字を読むだけで、世界中どんなところにだって行けるから。
私しかいない世界に、入り込めるから_______


