他人の未来を奪った人間に、幸せになる権利はない。 テレビのニュースに出てくる殺人犯の青白い顔写真を見ながら、昔よくそんなことを思ったものだ。 泣きながら『あの子を返して欲しい』とインタビューに答える遺族の姿はあまりにも痛々しくて。 不平等だ、と思った。 他人の未来を奪った者に、未来があるのはおかしい。 あの事件を起こす前までの私は、確かにそう信じていた。