いつもみんなで会ってみんなで出掛けて、健吾たちが離れたのをきっかけに、大雅と朔也も離れていく。
水族館の時もそうだった。

だから二人きりになる時間はあるけれど…、俺と真由“だけ”で出掛けるってのは少ない。


…俺、全然彼氏らしいことしてねぇな。
電話やメールはするけれど、会う時はほとんどダチが一緒って…ダメだよなぁー…。


…二人で会って二人で1日を過ごす、か。
今度、どっか誘ってみるかな?




「龍輝ー、聞いてる?」

「へっ…?」


「だからぁ、真由ちゃんと二人で会う時間決めようって言ってんじゃん」

「あー…わりぃ、ちょっと考え事してた」


色々なことを考えていたせいで、大雅の話は全然聞いてなかった。

「ごめん」と手を合わせた俺に、大雅は面倒臭そうな顔をしながらも時間の話を進めていく。
その間、朔也はほとんど何も言わずに、木に寄りかかって座っていた。

大雅の馬鹿みたいな提案には、さすがに口出ししてきたけど。
でもそれ以外は、コトの成り行きを見守っているだけだ。


…朔也が何を考えているかは、やっぱりよくわからない。
だけど朔也の表情は穏やかで、どこか、楽しそうに笑っているように見えた。