……。


その日は夜遅くまで問題を解き、なんとか数学のプリントすべてが終了した。

それでもまだ山のようにあるプリント。
マジでキツいかもしれない…。




「…朔也さぁ、明日には帰るんだよな?」

「そうだね」


「うわーダメだー絶対終わらない。
こんなに苦労するとは思わなかったー…」

「嘆いても後の祭り。
今はただ、精一杯に頑張るしかないよ。
それでもダメだったら…、」


「…ダメだったら?」


少しだけ何かを考えていた朔也が、にっこりと笑う。




「その時は、先生たちに精一杯謝るしかないよ」

「………」


…手伝ってくれるんじゃないのかよ。
くそぉ、ちょっと期待してたのに。


「…あーぁ、一度でいいから、お前みたいに成績優秀な人間になってみたいなぁ」


グシャグシャの髪を更にグシャグシャにし、深い深いため息をつく。
そんな俺に、朔也は小さく笑った。




「勉強ってのは、しようと思えば誰だって出来る。
俺は教科書に載ってることを覚えて、それをプリントに書いているだけ。
まぁ、ものによってはひらめきやセンスなんかも必要だろうけど。 でも基本的にはどれも同じ。
勉強は誰だって出来る。だけど進んでやりたがる人が少ないから、差がつく。
ただそれだけだよ」