「この野郎、お前こそ親を殴るなんてどういう神経してんだ」

「こんなのただのスキンシップじゃん」


「じゃあ俺のもスキンシップだな?」

「直人さんのは痛いっつーの。
俺のは優し〜く撫でるようなもんだろ?」


「じゅーっぶん痛い」


ギャーギャー騒ぎながら“スキンシップ”を続ける俺と直人さん。

そこに美奈がやって来て…、


「二人とも、いい加減にしなさい」


…と言いながら、俺たちの頭を同時にパシッと叩いた。




「まったく、直人さんってばいい歳してなに高校生と張り合ってるのよ。
龍輝も龍輝だよ? 叩かれたからっていちいちやり返さないの。
て言うか、叩かれるようなことをしなきゃいいでしょ」

「…ちょっと遊んでただけじゃん」


「 な に か 言った?」

「いえ、何も言ってません」


「何も無いならサッサとお風呂済ませちゃいなよ?」

「イエッサー」


ビシッと敬礼する俺を見て、美奈は深い深いため息をついた。

そして、「なんで私の周りの男はみんな子供っぽいんだろう…」とブツブツ言いながら台所に戻っていく。


そんな美奈を見送ったあと、直人さんと視線を合わせ、二人同時にククッと笑った。




「俺から見れば、美奈の方が子供っぽいけどなぁ」

「俺が見たってそうだよ。 見た目も性格もガキ」

「あはは」


と、笑いながら話していたら。




「…アンタたち、いい加減にしなさい。って言ったよねぇ?」




真っ黒いオーラを身にまとった美奈が、いつの間にかまた近くに来ていて、にっこりと冷たい笑顔を浮かべていた。


……その後、

俺と直人さんは正座させられ、長い長い説教を食らうこととなった。