それを見て、真由は心底安心したように息を吐いた。


話を聞くと、あの男は真由に「また付き合おう」とかなんとかを言ったらしい。

真由のことを傷つけたくせに、だ。


……問答無用で一発くらい殴っときゃ良かったかな?






「あーぁ、なんで俺は真由ちゃんの彼氏に思われないのかなぁ」


そうボヤく大雅に笑顔を返し、朔也(サクヤ)を静かに見つめる。

…あの男たちは、朔也を真由の彼氏と見たらしい。
まぁ、朔也と大雅と真由と優(ユウ)が同じテーブルに居たら、そう見えるんだろうな。


大雅と優は、昔から派手だ。

一方の朔也は黒好きのあまり目立たない格好で、真由もそう派手な人間じゃない。


だから、当然と言えば当然の見解かもしれない。

それに…――、


「………」




――…それに朔也は、真由の隣が似合う。

本人は気付いてないだろうけど、俺なんかよりもずっとずっとアイツの隣が似合ってる。


“俺”が居なきゃ朔也は、きっと真由と良い関係になってるはずだ。

…俺が居るせいで、朔也は自分の気持ちを押し殺して生きている。


……俺がアイツを苦しめてるんだよな…。