【完】Secret Story ‐笠井 龍輝‐



…ダメだな、俺。


「〇〇が終わったら話そう」って、そればっかりで。
そうやった結果が、いつもコレだ。

わかってるはずなのに、同じことを繰り返している。


…そうやって真由とすれ違っていくんだろうな。

なんて、他人事のように真由を見る。


真由は俺にペコリと頭を下げ、寂しそうな顔で歩き出す。




これで、いいのか?

いつもみたいにこのまま離れて、そしてどんどんすれ違っていく。

……これでいいはず、ないだろ。




「お前が良くたって、俺は良くねぇんだよ。

ごめんって何? なんでお前が謝る?
て言うか、ここで引くくらいなら最初から“知りたい”なんて言うなよ」


俺はお前を知りたい。
そして、お前に“俺”を知ってもらいたい。

だからこのまま帰すなんて、そんなの出来なかった。




「…優んとこに泊まるって親に言えば平気だろ」


真由をそばに置いて話をする。

それが、今 俺に出来ることだ。