学校に着くと、新しい制服に身を包んだ新入生がたくさんいた。女の子達はみんな可愛くて美人で…私にはかなわないようなオシャレな子ばっかりだった。男の子も、まぁまぁイケメン揃い。私は中学の頃の友達とは高校が別れてしまったから1人で教室に向かった。教室に着いても何人かのグループに別れて楽しそうに話している人ばかりだった。私は少し寂しかったけど、友達はこれから作れば良いか…と思いそのまま自分の席につく。出席番号順にならんだ机には誰1人座ってない。…ように見えただけだった。1人で座っていた私の背後から声がする。「あなたも、1人?良かったら仲良くしてくださらない?」妙にお嬢様口調な可愛らしいその声に振り向くと、声からイメージされた女の子と何一つ変わらないような女の子が座っていた。せっかくのチャンスを逃すわけにはいかないと私は慌ててこたえる。「はい。中学の時の友達とは高校離れちゃって…」「そうなんですか。私、中学は行ってなかったもので…久しぶりの学校に少し不安でドキドキしてますの。」女の子は本当に不安そうに言って少しうつむいた。「そういえば、まだ名前を言ってませんでしたね。私、安心院 花菜(あじむ かな)と申します。これから、お友達としてよろしくお願いいたしますわ。」改めて友達とか言われたから、少し照れながら私も自己紹介をした。「えっと…私は免田 春香(めんだ はるか)です。よろしくお願いします。あと、タメ口で良いですよ?」「そんな!!タメ口なんて無理ですわ。春香さんは、私にタメ口で良いですから。というよりタメ口というものをあまりしたことがないので…少々難しいですわ。」「え!?さすが、お嬢様!じゃあ、ごめんけどタメ口で喋らせてもらうね。私、敬語は苦手なの(笑)」花菜ちゃんの言葉に驚きを隠せず、お嬢様と確定したわけでもないのに、ついつい口に出してしまう。「私、お嬢様なんかじゃありませんわ。只単にこのしゃべり方が好きなだけですの。だから小学生の頃に行ってた、お嬢様学校の本当のお嬢様に私のしゃべり方は変とバカにされてしまいましたわ。」「え…?えっと…なんか、ごめん…。」私のせいで一瞬雰囲気が悪くなってしまったけど、先生の今から入学式がある体育館に入場するという言葉に救われ、その場はなんとか明るさを取り戻した。「体育館に入場ですって。行きましょう?」「うん!」私は、精一杯明るく返事して立ち上がる。今から私の高校生活が始まるんだ…。